PROJECT SUMMARY
どんなプロジェクト?
「seawase(シーアワセ)」は、ボランティア協議会の環境部門に中部電力から「海洋の保全活動を一緒に行いたい」と申し出があったことをきっかけに、当時環境部門の代表だった神野さんが河川や海の環境保全活動を行う団体として立ち上げました。現在は、中部電力との協働プロジェクトと、自分たちで内容を決めて行う活動と、二つの軸で取り組みを行っています。
団体名のseawase(シーアワセ)は、「海(sea)+幸せ」を合わせた造語ですが、海洋ごみを減らすことで人間だけではなく海の生き物も幸せになってほしい、という想いが込められており、設立以降、篠島に藻場を造成するために中部電力と勉強会や島の視察を行ってきた他、一般社団法人と一緒にワークショップを開催したり、河川や海のごみ拾い活動をしたりと意欲的な取り組みを行っています。
WHAT WE LEARNED #01
企業と連携しているからこそ得られる学び
中部電力と海洋の保全活動をするにあたって、まずは「何をするか?」を決めることから始まりました。篠島では磯焼けにより漁師さんが困っていることを中部電力から聞き、その解決策を学生で考えることに。磯焼けはウニや魚に海藻が食べられて藻場が消滅してしまう現象です。藻場がなくなるとそこに生息するアワビやサザエも減り、漁獲量にも影響します。
こうした課題を踏まえて、中部電力との勉強会や先端技術応用研究所への訪問、篠島で漁師さんへのヒアリング?藻場の視察などを行い、学生で課題解決に向けたアイデアを出し合いました。磯焼けの原因となる「ガンガゼ(ウニの一種)をおいしく食べる方法」「ガンガゼを捕食する魚(アイゴとかクロダイ)を増やす」などの案もありましたが、最終的に最も実現できそうな藻場の造成を目指すこととなりました。


大鐘さんは「学生だけで話し合うと、どうしても机上の空論で終わってしまいがち。そこでさまざまな事業を経験してきた企業の方が、具体的にどのように実現していくかアドバイスやサポートをしてくれました」と話します。「アイデアを実現するために具体的に詰めていく過程で、新たなアイデアが生まれたり現実的に難しいと気付いたり、いろいろな学びがありました」と千野さん。
神野さんは「学生同士の気軽な連絡とは異なり、企業の方とコミュニケーションを取ることの難しさを学びました。メールでのやりとりがメインだったので、メンバーの意見を取りまとめて伝わりやすい文章にすることや、敬語を意識することが大変でした。文字のコミュニケーションは相手の意図を正しくくみ取ったり、認識をすり合わせたりするのが難しいですが、良い経験になったと感じています」と語ります。
WHAT WE LEARNED #2
藻場造成の準備段階だったこれまでと、課題に挑むこれから
中部電力と取り組む藻場造成プロジェクトは、昨年度と本年度が準備期間となり、来年度以降に本格的に実施していく予定です。本年度は少なくとも4回は篠島へ行き、藻場のモニタリングや場所選定、漁師さんと来年度に向けての話し合いを計画しています。
しかし、現在メンバーの頭を悩ませているのが「アラメ(海藻)をどこから持ってくるか」という問題です。藻場造成ではアラメを増やすことを考えているものの、その種をどこから持ってくるかが決まっていません。アラメは全国的にも数が減っているため、種を入手することが障壁になる可能性も。本年度中には決める必要があるため、優先的に解決するべき課題と言えるでしょう。
来年度からはアラメを植え替えてモニタリングしていきます。どのように藻が育つのか、それともガンガゼに食べられてしまうのか観察を続け、計画を実行するなかで見えてくる新たな課題が見つかるかもしれません。
左から大鐘斐斗さん(農学部4年)、千野舞理萌さん(経済学部4年)、神野良淳さん(理工学部4年)