大学概要【2025年度実施分】シームレスな協働コミュニティの構築と促進
外国語学部
本取り組みの目的は、ビジネス業界で重視される「シームレスなチームワーク(継ぎ目のない円滑な連携、時間的かつ空間的連携を妨げない協働環境)」を、基礎演習Ⅰなど正課のグループワーク活動を通じて学生に体験させるとともに、ICTやメタバース、AIなどを複合的に活用し、ミーティングや協働を効率的かつ生産的に行う力を養うことにあります。社会がDX化する中、学生時代に協働とテクノロジーが融和した学び創出しています。
ACTIVITY
Future Skills Project(FSP:株式会社槌屋様との取り組み)
2025/12/04
このシームレスな協働コミュニティ構築の実践例として、基礎演習I(FSP)の取り組みをご紹介します。
FSP:企業との連携プロジェクト
FSP(Future Skills Project)は、多様な業種?業態の企業10社と連携し、企業連携型教育プログラムを実施するプロジェクトです。この取り組みでは、企業から提供された課題に取り組むことで、学生が失敗や成功を経験しながら、「チャレンジ精神」や「主体的に行動する力」を養うことを目的としています。また、本プログラムを通じて、学生が自身の4年間の学びの目的を明確にし、より主体的に学修に取り組むことが期待されています。
今回の取り組みの一例として、株式会社槌屋様との例をご紹介します。株式会社槌屋は、自動車関連部品を中心に、電子?機能部品、産業資材などを幅広く取り扱う技術商社です。開発から製造、販売まで一貫した体制を持ち、国内外のメーカーと連携しながら高品質な製品を提供しています。また、環境対応素材や先端技術分野にも積極的に取り組み、多様な産業の発展を支える役割を果たしています。
ICT/AIの活用
【企業分析】
事前準備として、学生たちはインターネットやAIを駆使して、槌屋がどんな会社なのかを調べ、大学推奨のLMSであるWebClassを通じて情報や質問を共有し、協働に活かしました。
【課題提示と提案】
槌屋様からは人材確保のための施策を考案する課題が出されました。これ受け、学生たちはイベントやパンフレットを提案すべく、キャッチフレーズの作成やプレゼンにイラストや動画を取り入れるなど、AIやICTを駆使し、協働の成果を発表しました。
Future Skills Project におけるAI活用型学習の深化
2025/12/04
AIとICTの活用
本年度のFSPでは、株式会社ヤクルト様からいただいた「中高生に向けたジョアの販売促進」という課題に対し、学生たちはAIとICTを積極的に活用しながら企画提案に取り組みました。
まず、ヤクルト様の商品価値を深く理解するため、AIを用いて「中高生に鉄?葉酸が必要となる具体的なケース」を多角的に調査。成長スパート期、初潮、運動部での激しい練習など、健康情報を短時間で整理できたことにより、学生たちは「自分たちが扱うテーマの背景」をまず掴む姿勢を身につけることができました。
また、複数のAIを使って情報の照合や裏どりを行うことで、AIの便利さと同時に、ハルシネーション対策の重要性を強く認識するきっかけにもなりました。
AIによる提案資料の設計
プレゼン資料の作成面でも、AIが大きな役割を果たしました。キャッチコピー案の生成、イラスト制作、図表生成、スライド構成案の作成など、通常なら時間を要する工程を効率化し、学生たちは企画の内容により集中しながら質の高いアウトプットを生み出す経験を得ました。
特に、AIで生成したイラストをもとに自分たちでデザインを調整するなど、「AIに任せる作業」と「人間が判断する作業」のバランスを考える実践的な学びにつながりました。
今回の取り組みを通し、学生たちは
? AIと人間の役割分担を意識して使いこなす力
? 情報を鵜呑みにせず、妥当性を検証する姿勢
? 課題を多角的に捉え、アイデアを形にする実践力
? チームで協働し、意見を伝え合うコミュニケーション力
をバランスよく伸ばすことができました。
まとめ
今回のFSPは、単なる企業連携の枠を超え、学生が未来の学び方と働き方を体験的に理解する場になりました。ヤクルト東海様からの温かく実践的なご指導により、学生たちは実社会とつながる学びの面白さを強く感じ、ともに成長していく手ごたえを実感していました。
教室での実践的学びから現場へ
2025/12/05
FSPでの取り組み
学部設立当初からFuture Skills Project(FSP:1年生前期「基礎演習I」で実施)にご協力いただいている丸善雄松堂様より、今年度は「名城大学のグローバル化促進のための事業展開」という課題をご提示いただきました。
留学や語学学習といった身近なテーマを通じて、学生たちは名城大学のさらなるグローバル化を「自分ごと」として捉え、自らの枠組みにとらわれず広い視野で社会を見つめる第一歩を踏み出しました。
特に今年度は、丸善雄松堂様よりご提案いただいたクロストライアルの「ビジネス大喜利」から、大きな学びを得ました。ブレインストーミングによってさまざまなキーワードをカード化し、それらをランダムに組み合わせることで、思いもよらない視点を得るアクティビティです。
活動当初は「グローバル化」という枠組みに引っ張られる表現が多く見られましたが、回を重ねるごとに、より突飛なアイデアも可能性を広げることに気づくようになりました。たとえば、「推し」というキーワードをさまざまなものと組み合わせることで、「好きなことなら続けられる」という視点が生まれ、「推し活×勉強」というテーマに辿り着いたグループもありました。
実際の発表では、学生たちは想像以上に事業にはさまざまなコストがかかること、また「社員として」課題解決に臨む上で机上の空論に終わらせないために利益を生み出すストーリーを立てる必要があることなど、ビジネスや実社会における課題解決の基本的な考え方を学ぶ機会となりました。
MARUZEN(名古屋本店)での選書ツアー
授業アンケートによると、意外にも、丸善雄松堂様について「名前だけは知っている」という程度の認識しかない学生も多く見受けられました。そこで、教室での課題解決だけでなく、実店舗(名古屋栄本店)での選書ツアーを1年次後期に実施しました。
電子書籍が身近になり、そもそも本を読む習慣が減少しつつある中で、書店に足を運ぶ機会自体が少なくなっています。そうした背景の中、学生たちは自分の研究課題や興味に関わる書籍を実際に店舗で選書する体験をしました。
2時間の選書活動は当初長く感じられていたようですが、実際には想像以上に多様なタイトルに触れることができ、同じ棚に並ぶ関連書籍から視野を広げる体験をしていく中で「あっという間だった」という感想が多く聞かれました。頭で考えるだけでは分からない、まさに実体験を通じた学びを得ることができました。
まとめ
今回の学びは、教室内での活動と教室外での体験とをシームレスに連携させたことで、学生たちにとって大きな学習体験となりました。大学での学びは、一つ一つが独立したものではなく、大きなネットワークの中で相互に関係し合い、地続きであるということを実感する貴重な機会となりました。






