大学概要【2017年度実施分】まちづくり実習プログラムの開発

理工学部

まちづくり実習プログラムの開発
実施責任者:松本 幸正

理工学部社会基盤デザイン工学科では,まちづくりのデザイン力を養成するため,「デザイン学入門」,「ランドスケープデザイン」,「都市デザイン学」などの科目を設け,学んだ知識を実践する科目として「まちづくり実習」を開設している。
 昨年度に引き続き,この「まちづくり実習」では,対象とする自治体を自分の足で歩き,目で見て,肌で感じてもらって課題の設定ならびに解決策の提案をしてもらうが,昨年度の実践を通して改良を加える「まち歩きアプリVer.2」を活用することによって,写真やコメントを投稿しながら受講生同士がリアルタイムに情報共有することができるようになり,異なる視点での課題発見やアイデア創出につながることを期待している。

ACTIVITY

長久手市の課題概説とまちの視察

2017/10/03

 理工学部社会基盤デザイン工学科3年生の講義科目である「まちづくり実習」の一環として,10月3日に,長久手市の現地視察に行きました.
 まずは長久手市役所において,担当者から,長久手市の現状と課題についての説明を受けました.その後,バスの中で担当者から説明を受けながら,市内を視察しました.日本の多くの地域では人口が減少している中,ここ長久手市では人口が増加しており,社会基盤の整備や住宅地開発も進んでいます.このような開発の現状を見ることは貴重な体験であり,受講生たちにとっては格好の題材になりました.
 「はなみずき駅」からは,リニモに乗車して新交通システムを体感するとともに,長久手市内を上空から観察しました.陶磁資料館南に到着後,愛知高速交通株式会社の車両基地へ向かい,車庫でリニモの実物を見ながら磁気浮上の仕組みの説明を受け,その後,運転指令室の見学もさせてもらいました.長久手市のまちづくりにとってリニモが不可欠であることを実感していたようです.

長久手市の担当者による長久手市の現状と課題の説明

愛知高速鉄道株式会社の車両基地でのリニモの説明

瀬戸市の課題概説とまち歩き

2017/10/17

 理工学部社会基盤デザイン工学科3年生の講義科目である「まちづくり実習」では,10月の長久手市視察に続き,10月17日に,瀬戸市の現地視察に行ってきました.
 菱野団地で市の担当者と合流し,バス内で菱野団地の現状と課題についての説明を受けながら,団地を巡回しました.瀬戸市は長久手市に隣接するものの,市が抱える課題は大きく異なり,受講生たちにとっては都市デザインを考える上で恰好の題材といえます.
 その後,八幡公民館へ移動し,自治会長やNPO法人で活動している方から菱野団地住民バスや瀬戸市の福祉についての話をお聞きました.まちづくりに汗を流している方々の生の声を聞くことができ,受講生たちにとっては,郊外団地の高齢化の問題を考える良いきっかけとなりました.
 続いて,菱野団地からバスでパルティせとへ移動し,2つの班に分かれ,中心市街地の銀座通り商店街,深川神社,無風庵周辺などをまち歩きしました.中心市街地を自分たちの足で歩き,自分たちの目で見ることによって,郊外団地だけではなく,中心市街地においても多くの課題があることを実感していました.現場にこそ問題解決の糸口があることに受講生たちは気が付いたことでしょう.

旧山繁商店について説明を受けている受講生たち

中心街をまち歩き中の受講生たち

ファシリテーション技術と対象自治体における課題設定

2017/10/31

 10月24日と31日に,パブリック?ハーツ株式会社代表取締役の水谷香織氏を非常勤講師にお招きし,ファシリテーションの役割と方法や,ワークショップ技法などについての講義を行ってもらいました.
 この講義では,実際にワークショップを体験してもらうため,5人程度の班を編成し,担当する自治体の課題をワークショップ形式でまとめました.最初はなかなか議論に参加できなかった受講生たちも,講義で習った方法に従って進めていくうちにだんだんと議論に加わることになり,最後には,立って一生懸命に作業をするグループが目立ちました.
 ワークショップの最後には,班でまとめた対象自治体の課題をポスターとしてまとめ,班ごとに発表を行ってもらい,水谷香織氏から講評をしてもらいました.
 今後,これから行う現地調査の結果を踏まえて,今回まとめた課題に対する解決策を班ごとに提案し,各自治体の担当者の前で発表することになります.

立ち上がってまとめ作業をする受講生たち

まとめた課題の発表の様子

対象の自治体の調査

2017/11/15

 理工学部社会基盤デザイン工学科3年生の講義「まちづくり実習」では,これまでに,現地視察の結果なども踏まえて,担当する自治体の課題をまとめました.11月14日には,その課題の現状把握と,解決策を提案するための基礎データの収集を目的として,対象自治体にて現地調査を行いました.
 学生たち自身でアンケート内容や観測調査等の方法を考えているため,調査地域や調査方法は班ごとで異なります.座学での講義が多い中,実際に現地に赴き,調査の計画から実施までを自分たちで行うということは在学中あまり経験できないので,良い勉強の機会になりました.
 調査中は,各班2台ずつタブレットを持ち,開発した「まち歩きアプリ」を使用することで,調査中に写真やメモをWEB上に投稿することができます.また,リアルタイムで班の所在地やどの班がどこでどのような事項を調査しているのかがわかるため,お互いが切磋琢磨しながら調査に励んでいました.
 後日,班ごとに,調査結果や解決策をまとめて発表することになります.その際に,この「まち歩きアプリ」のおかげで,調査箇所や軌跡等を確認する事が出来るため,調査結果のまとめがしやすくなります.

開発したアプリで投稿された写真

受講生が住民に対してアンケートをしている様子

対象の自治体の課題解決策の発表会

2018/01/15

 対象自治体に対して班ごとに設定した課題の現状把握と,解決策を提案するための基礎データの収集を目的とした11月14日の現地調査の後,ワークショップ形式で,受講生たち同士で意見を出し合いながら課題解決策をまとめました.その後,発表練習を繰り返して,いよいよ,自治体の担当者の前での発表の日です.
 教員や学生たちの前での発表とは異なり,実務に携わっている方の前での発表は,これまでにない緊張感を持った発表になりました.1人で発表する班や,数人で役割分担をしながら発表をする班などがありましたが,練習の甲斐もあって,大きな失敗をすることなく無事に全班の発表が終わりました.
 発表後,各自治体の担当者から講評を受けました.教員とは異なる実務の視点からのコメントは,受講生たちにとっては実社会を知る良い機会になったようです.特に,担当者から期待されていた,学生らしく,よりユニークなアイデアが足りなかった点を悔やんでいたようです.「まちづくり実習」でのすべての経験は,通常の座学や実験では得られない貴重なものであり,今後,都市デザインを考える上で大いに役立つことになるでしょう.

少し緊張しながらの課題解決策の発表

自治体の担当者からの講評

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