農学部/生物環境科学科科目 Pick Up
植物機能科学
自然界では、強光、強風、高温、低温、凍結、乾燥、豪雨、塩集積など、さまざまな現象が各地で起こっています。植物は、こういった環境要因から逃れることができず、生息地で各要因に適応しています。また、植物は、光を情報として取り込み、さまざまな形態形成を行うだけでなく、光エネルギーを取り込んで、光合成、窒素同化、硫黄同化など、独立栄養生物としての機能を発揮し、すべての生物の生命維持に不可欠な成分を供給しています。植物機能科学ではこれらの重要な機能とさまざまな環境要因に対する応答について解説します。
物質循環論
人類は食糧を増産し、この地球上に70億を超える人口を生存させるに至りました。さらに、今世紀中にその人口は100億を超すといわれ、食糧不足、資源?エネルギーの枯渇などが懸念され、また同時に、公害、温暖化、酸性雨など、われわれはこの地球上に数々の環境問題を抱えています。これらの問題は、地球上の物質循環が健全に動いていないためであるとも考えられますが、本講義では物質循環の視点から人間と環境とのかかわりについて論じ、合わせて地球上における環境問題を紹介、概説するところに特長があります。
保全植物学
植物を保全するとはどういうことでしょうか。それぞれ特有の生活スタイルをもつ植物が、単独または互いに影響しあいながら多様性を維持すること、それは、環境保全や農業生産にとって非常に意味のあることです。そこで、雑草などを含めた野生植物の多様性、生態的特性、また遺伝資源としての特性とこれらの現状について、保全に対する取り組みなどから、最新の研究成果を取り入れて多面的に学びます。また生物多様性の脅威となる諸問題、植物保全?保存のための技術?活動などについても探ります。
環境動物学
私たち人間が生きていくために行っている日々の営みは、地球温暖化、環境汚染、生息地の破壊、外来生物の移入、乱獲などの非生物的?生物的環境の改変をもたらし、その結果、多くの野生動物がいま絶滅の危機に追いやられています。本講義では、人間活動にともなう環境の改変が野生動物の生息や生態およびその多様性にどのような影響を及ぼしているか、人間が野生動物と共存していくためにどのような保全と管理を進めていくべきかについて学びます。
環境分析化学
身の回りの環境には数多くの化学物質が氾濫しており、そのなかには人体に対して有害なものも見つかっています。現在、環境や生態系に対し影響が大きい化学物質については、さまざまな手法を用いて分析を行い実態調査が進められています。本科目では大気、土壌?水域といった環境中に存在するさまざまな有害化学物質の特性、分析方法、最新の汚染実態について学びます。さらに、それら物質によってどのような毒性が生じるかについても学び、環境分析の重要性を認識することができます。
微生物学
私たちの身近な生活環境や動物、植物とも密接に関わりのある微生物を学ぶ微生物学は、農学においても基本的かつ重要な学問です。本講義では、微生物の表層構造や生育におけるエネルギー代謝を通じた生物の共通点や相違点の理解、微生物の分類や生態を学ぶことによる生物多様性への理解を深めることを目的としています。さらに微生物を利用した多くの産業(エネルギー生産、環境修復、発酵工学、医薬?食品工業)についても学ぶことで微生物学がさまざまなバイオサイエンスの基礎であることが理解できるようになります。
ランドスケープ?デザイン学
「ランドスケープ?デザイン」という言葉は、近年「造園」という言葉にかわって使われるようになってきました。現代において、その対象となる分野が拡大し、従来の概念では捉えきれない状況がその背景にあります。個人庭園から都市の公共緑地、都市周辺の二次林、自然風景地あるいは地球環境までその関連する分野が拡大?拡散してきています。本講義ではランドスケープ?デザイン学の意義ならびに歴史的発展の概要について論じ、今日的課題を検討します。
生物環境実習
フィールドに出て、さまざまな視点から「環境」について実見、体験できる専門への入口です。