大学概要【2019年度実施分】歴史文化?近代遺産を活用した市街地?コミュニティ活性化プロジェクト

学部?部署共同

【理工?都市情報学部】歴史文化?近代遺産を活用した市街地?コミュニティ活性化プロジェクト
実施責任者:米澤 貴紀

本プログラムは、建物や都市、景観の調査に基づいた地域活性化案の検討?提案?具体化を学生が主体となって取り組み、調査、分析を通した成果物を作成し、発表?提案する楽しさ、面白さ実感する教育研究プロジェクトである。本年度は、愛知県知多郡東浦町と富山県氷見市の2つの地域を対象として歴史や地勢、人々の生活等を考慮した、その地域ならではの提案を作成する。そして、異なる学部?学科の学生が共同で取り組むことによって、多様な見方や価値観を実感し、視野を広げることも目指している。

ACTIVITY

東浦町生路地区景観まちづくり調査

2019/07/07

7月7日に東浦町生路地区の景観まちづくり調査を行いました。この調査は、東浦町生路地域のまちづくりに役立つ景観資源を調査して、その評価を行うために実施するものです。生路地区はヤマトタケルにちなんだ伝説のある生路井や、中世の棟札(※)の残る伊久智神社など古くから開けた地域で、現在も黒壁を中心とした伝統的な景観が残されている地域です。
今回は、近世以来の巡礼路である弘法道沿いと生路井周辺の地域を対象に行いました。
参加者はまず2グループに分かれて「東浦ふるさとガイド」の方と一緒に調査地域を周り、地域の解説を受けたり、また気になる箇所について質問をしたりしました。その後、道?路地や、景観を作る建物、ランドマークなどの現状を調査記録しました。地区内にある坂道や狭い路地は魅力的な景観につながるポテンシャルを持つ一方で、車の通行や交通安全の面からは問題にもなること、黒い外壁を持つ建物が多く残されていることで、歴史を感じる落ち着いたまちなみが見られることなどを見出しました。
※棟札…建物の上棟や修理等に際して祈祷文とともに施主?工匠名などを記した木製の札。

景観要素の踏査

「ふるさとガイド」の方より説明

道についても記録

調査結果の整理と検討

氷見中央町防災建築街区調査

2019/08/31

8月31日に富山県氷見市中央町にある防災建築街区の調査を行いました。中央町は道の両側に3階建ての防災建築ビル(※)が連続して建ち街区が形成され、まちなみが作られています。防災建築ビル?街区はその活用への取組が各所で考えられ、実施されており、私たちもその建物の調査?評価を通して中央町の活性化に貢献できればと考えています。
 中央町では昨年度も調査を行っており、今年度はこのビルの現在の状況、問題点をヒアリングして調査するとともに、改修?増築等された箇所を目視で記録する作業を行いました。また、比較検討を行うため、ビルの東側の通りに沿った建物についても改変状況の記録をとりました。
 まちなみ調査を行ってみると、遠目から見ると町並みとして統一感はありますが、デザインは単調で乏しく感じました。間近で建物を見ると、1階部分は一体化した建物であることを忘れるほど住んでいる人の個性が溢れ出ていました。上階部分の単調なデザインと統一された歩道、アーケードがあるからこそ、下階部分の装飾が光って見えるように思えました。だからこそ、単調的なデザインを強く否定することは出来ないように感じました。また、これらのビルは生活に密接した商店街であるためと思いますが、現代的な人目を引くようなデザインや、十分な改修?手入れされたファサードは余り多くないように感じました。住民の方がこの建物の価値を良い方向に評価できるようになり、愛着を持ってもらえれば改修や手入れにつながり、見て楽しいまちなみになっていくのではないかと思いました。SNSなど視覚的なツールが重宝される現代では大切なことと考えました。商店街という観点から見ると、真ん中に二車線道路が通り両側に歩道があるため、交通的な安全と、対面する建築物同士の距離が保たれることで防災的には強いという利点はあるものの、反対側のお店に気軽に立ち寄れない点がもったいないと思いました。
 聞き取り調査では、共同ビルであるがゆえの苦労や問題を聞くことができました。
※防災建築ビル…防災建築街区造成法(1961-1969)に基づいて建てられたビル。防災、土地の合理的利用、環境の整備を目的としてビルが建てられた。

氷見駅に到着

各ビルを確認

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周辺地域の調査

小矢部市中央通防災建築街区調査

2019/09/01

9月1日は昨日の氷見に続いて、富山県小矢部市の防災建築街区の調査を行いました。小矢部の防災建築街区の調査は初めてでした。
小矢部では各ビルの概要の把握と住民へのインタビューを行い、所有者のご厚意で閲覧させて頂いた資料の記録も行いました。
小矢部の防災建築街区は、アーケードがないこともあり、氷見に比べると道幅は広く感じ、氷見よりも階高が高い防災ビルも、その簡素で統一された外観がより強調されていました。ただ、町に人気(ひとけ)はなく、営業中の商店も少なかったです。
少し寂しい印象を受けた小矢部でしたが、住民インタビューを通して、この町の魅力を知ることができました。インタビューをした方は自分の街、防災街区について説明して下さり、自分の街を人に語れることは素敵なことだと感じ、街も魅力的に見えました。同時に、せっかく街としても魅力があり、魅力をわかっている住人がいらっしゃるのに今の状態は勿体無いと思いました。
この調査が、何か防災街区の魅力を多くの人に伝えるきっかけとなっていくといいなと思います。

小矢部市中央通防災建築街区の防災ビル

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