大学概要【2019年度実施分】学年横断の実践体感型の建築設計教育プログラムの実施
理工学部
建築設計課題で優秀な成績をおさめた学生が主体となり、複数学年横断型で行う建築設計教育プログラム。実社会で必要な課題解決能力の涵養を目的に、第一線で活躍する建築家?技術者と協働する形で、次の2つを実施する。
(1)学生が主体となった特別講義(2回)
選抜学生グループ(2年~修士)が、講師の工房や設計事務所を訪れ実践の場と活動を体感、かつ講師より作品等解説を得る。そして後日、講師とテーマを企画し、100名規模の特別講義を開催する。
(2)全学年の建築設計作品(優秀作)の特別講評会(1回)
ACTIVITY
貝島桃代氏特別講演会の開催
2019/11/08
1.講義の様子
10月29日に貝島桃代氏の特別講演会を実施しました。貝島氏は、筑波大学とスイス工科大学チューリッヒ校の2校で教鞭をとる、日本を代表する建築家です。2018年には世界で一番大きな国際建築展「ヴェニス?ビエンナーレ」の日本館キュレーターを務められています。
世界でご活躍される貝島氏の日本でのレクチャーは滅多になく、東海圏の学生?建築関係者100人の近い参加がありました。
「建築のふるまい」をテーマにしたレクチャーでは、建築を観察して、その地に根ざしたデザインを考えることの重要性が説かれました。自然?人?建物を対象に、その関係性や暮らしを読み解き、ドローイングや模型などのアウトプットを作成する一連のスタディは力強く、「ふるまい」の多様性を教えてくれるものでした。
講義の最後には、「地域資源を暮らしに使っていた時代から産業化され利便性が向上した現代に代わったいま、新しいものと古いもののハイブリッドが重要」との、未来へ向けた提言もいただきました。
学生にとって世界で活躍する建築家の特別講義はとても刺激的になったようで、講義後の懇親会でも貝島先生を囲んだ大団円もできていました。
(建築学科 佐藤布武)
建築作品「ハウス&アトリエ?ワン」の見学会の実施
2019/11/11
1.ハウス&アトリエ?ワン外観
10月28日に東京にある「ハウス&アトリエ?ワン」の見学会を実施しました。2005年に発表された同作品は、2007年のグッドデザイン賞を受賞したほか、アトリエ?ワンが世界的な建築家として飛躍するきっかけとなった作品でもあります。「家を開く」をテーマに、職場と住宅を一緒にして、様々な人が同時に存在している家のあり方を提唱したものです。
当日は、まずは東京の下町である四谷周辺を歩き、まちの成り立ちや住宅地の特徴を学びました。その後アトリエ?ワンを訪れ、貝島氏の作品解説を受けました。小さな一つの住宅作品を通して、東京という都市における提言をされている同作は、学生が広い視野を持って建築を学ぶ機会となりました。
その後、実際に作品を見学するのですが、写真を撮ろうと準備する学生を見た貝島氏から
「写真を撮るのではなくスケッチしよう!」
との提案が。20分の即席スケッチ会が開催されました。
写真を撮るとそれだけでわかった気になってしまいますが、スケッチは見たものを一度頭の中で図解して、再構築する作業です。
20分後には貝島氏に学生がスケッチを見せて、自分がどういう風に建築作品を捉えたのかのプレゼンをする時間も設けていただきました。建築家に自分の視点や考え方を伝える良い機会になったようでした。
(建築学科 佐藤布武)
全学年を対象とした建築設計作品(優秀作)の特別講評会_猪熊純先生を迎えて
2019/12/26
11月16日(土)13時から19時頃まで、設計事務所を営まれ、首都大の教員でもある猪熊純先生を迎えて「学年横断型講評会」を開催した。
この企画は、各学年から選抜された作品を、社会で活躍されている建築家が公開で講評する教育プログラム。担当となった学生たちは、事前に建築家の作品分析、作品見学、事務所見学を行い、建築家の思想や実務の現場を深く学ぶ体験もした。
特別講評会当日は、前半では、猪熊先生より自作に関する講演や、学生たちによる建築家レポートの発表などを行なった。50人近い学生が出席し、熱心に講演を聞きました。シェア空間のあり方や、パブリック?プライベートの境界のあり方など、建築をまちや社会課題と繋げる考え方を示唆する内容で、学生たちは大いに刺激を受けました。
後半では、建築家が巡回する方式で「選抜された2年?3年生の設計課題」の講評と、4年生が取り組む卒業制作に対するアドバイスをした。学生の様々なテーマの発表に対して、的確なアドバイスをもらうことができ、大変勉強になる機会であった。学生たちには、著名な建築家の前で自分の作品について発表し伝える機会を得て、今後に繋がっていく良い経験となった。