育て達人第169回 小泉 和也
元ラグビー日本代表 ワールドカップを前にラグビー人生を語る
経済学部 産業社会学科 小泉 和也准教授(健康?スポーツ科学、スポーツ行動学)
「4年に一度じゃない。一生に一度だ。-ONCE IN A LIFETIME-」というキャッチコピーが躍っています。今年はラグビーの第9回ワールドカップ(W杯)日本大会が豊田スタジアムなどで開催されます。経済学部で体育を教える小泉和也准教授は、W杯出場経験はないものの、元日本代表のフランカー(フォワードの一員)です。W杯の年に、自らのラグビー人生を語ってもらいました。
まず、ラグビー歴を振り返ってください。
10号館の研究室でラグビーボールを持つ小泉和也准教授
中学3年の時、友達に誘われてラグビーを始めました。山梨県立日川高校(山梨市)で本格的にラグビーを始め、ポジションはフォワード。1年からレギュラーで、花園(全国大会)は、1年ベスト8、2年ベスト4、3年ベスト8でした。早稲田大学に進み、4年生の大学日本選手権は明治に敗れ、準優勝でした。卒業後は神戸製鋼に入社しました。
日本一を続けていた神戸製鋼を選んだ理由は。
座右の銘を書いた色紙を手にする小泉和也准教授(左は本学卒業生の田村勉さんの絵)
大学3年の時に神戸製鋼はV7を達成し、翌年はV8にチャレンジしていました。7回連続して日本一になっているチームに入り、自分自身を成長させたいと思ったからです。日本代表に選出され、国を代表して戦ってみたいという希望もかなえられると期待しました。神戸製鋼では14年間プレーしました。
どんな選手でしたか。
タックルには自信があり、得意でした。大きい選手や強い選手とぶつかるとワクワクしました。フランカーとして、皆から注目してもらうために、そんなニッチな世界で技術を高め、生き抜くと決めました。
実際に日本代表のジャージーを着てみていかがでしたか。
日本代表としてのキャップ(国代表同士の対抗試合に出場した回数)は12です。日本ラグビーフットボール協会の日本代表歴代キャップ保持者一覧には360番で載っています。
収穫は。
国を代表して戦うということは、自分がこれまでやってきた証しを残すということだと考えました。強いチーム、大きい選手と対戦し、まだまだ知らない世界がある、もっともっとやるべきことがあると実感しました。いい経験ができました。当時、試合前に君が代が流れると、胸がドキドキし、心身とも戦う準備に入りました。現在でもオリンピック等で日本選手が金メダルを取り、表彰式で君が代が流れると、勝手に体が反応し、緊張感が湧いてしまいます。
今年のワールドカップへの期待と見どころを語ってください。
日本は前回大会(2015年、イングランド)で、初戦に優勝候補の南アフリカを破るなど歴史的な3勝を挙げましたが、目標の決勝トーナメント進出(ベスト8)は果たせませんでした。今回は、日本が強豪国と互角に戦えるチームになったこと、前回がまぐれではなかったことを示す絶好の大会です。1次リーグで5チーム中2位以内に入り、ベスト8に進めるかが見どころです。
大学ではどんなことを教えていますか。
健康?スポーツ科学を担当しています。経済学部の1年生は必修です。法学部?経営学部?経済学部を合わせた夏季?冬季集中講義でもスキューバダイビングとスキーを担当しています。スキューバダイビングは沖縄、スキーは長野県の北志賀高原です。スキューバダイビングは大学の機材を使い、格安で実習することができます。学生にとって、生涯スポーツのきっかけづくりになればと思っています。
どんな研究をしていますか。
中?高年者の運動?スポーツです。どうやったら健康長寿でいられるか、運動?スポーツを通して社会から離脱せず、楽しく生きがいをもった生活ができるかを研究しています。
教育で心がけていることは。
学生たちがワクワクできるか、です。子どもがご飯を食べるのも忘れて砂場遊びに夢中になるような体験を提供することです。
学生にメッセージをください。
総合大学なので、他学部の学生と仲良くなり、いろいろな分野の友達をつくってほしいと思います。そして何かにチャレンジし、全力で打ち込んでほしいとも願っています。私は大学時代の4年間ラグビーに打ち込み、多くの事を学び、さらに一生の仲間を得ることができました。ラグビー競技を通して、「全力を出し切ること」と「今を生きること」の大切さを知ることができました。
趣味や座右の銘を教えてください。
趣味は自宅の2匹の犬と遊ぶこと。座右の銘は「人生はチャレンジだ」です。これは高校の先輩、故ジャンボ鶴田さん(プロレスラー)の言葉でもあります。
小泉 和也(こいずみ?かずや)
1973年、山梨県塩山市生まれ。1996年、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。2014年、神戸大学大学院人間発達環境学研究科修了。2015年、名城大学経済学部産業社会学科助教、2018年、同准教授。論文は「中高年ラガーマンの競技性に関する研究」「高齢化社会におけるスポーツの実施に影響を与える要因に関する社会科学的研究」など。日本体育学会、生涯スポーツ学会、日本ラグビー学会、スポーツ産業学会会員。本学ラグビー部の部長を務める。