ナノサイエンスの先駆者?飯島澄男終身教授
ノーベル賞の発表を前に飯島澄男終身教授が記者と懇談
三密回避対策のZoomも含め16社から37人が参加
2020年のノーベル賞受賞者は10月6日に物理学賞、翌7日に化学賞がそれぞれ発表されます。本学では、2014年物理学賞の赤﨑勇終身教授?特別栄誉教授、2019年化学賞の吉野彰大学院理工学研究科教授に続き、物理学賞または化学賞でカーボンナノチューブ(CNT)の発見者、飯島澄男終身教授(81)の受賞が期待されています。
飯島終身教授は9月10日、天白キャンパスで記者と懇談し、近況を語りました。ノーベル賞の発表を前にした記者懇談会は2018年、2019年に続いて3回目。今年は新型コロナウイルス感染症防止のため三密回避に努めました。出席記者を絞り、ウェブ会議システム「Zoom」での遠隔参加も可能とし、16社から37人が参加しました。
講義を受けた大学院が人柄や感想を語る
飯島終身教授は2020年度、3年ぶりに講義をもち、前期に大学院理工学研究科修士課程1年生を対象に「ナノ構造科学特論」を対面で講じました。
コロナの影響を問われた飯島終身教授は「多くの授業がオンラインで行われたが、これだとテレビやラジオの教育講座と同じになってしまう。私は直に学生と接するのがいいので、あえて対面授業をまとめてやった」と答えました。さらに、同じ研究者として「若い人たちと同じスタートラインにいるという意識で接している」と語りました。
受講した大学院生7人が出席し、記者から飯島終身教授の印象や講義の感想を問われました。
杉野稜太さん(応用化学専攻)は「研究者としての心構え、何事も好奇心をもってチャレンジする姿勢を教わった」と回答。吉野教授に続いて飯島終身教授がノーベル賞を受けると本学委とって2年連続の快挙となり、「名城大学が活性化するといい」と期待を込めていました。
田中優衣さん(同)は「学生の様子を見て、難しい内容をかみ砕いて説明するのがうまい。研究室に質問に行くとやさしく応対していただいた。温かいと思った」と話しました。
今もロードバイクで快走
- 質問に答える飯島終身教授。手前右はカーボンナノチューブの模型
- フォトセッションに臨む飯島終身教授
懇談会の中で飯島終身教授は、CNTの発見を1991年の「Nature」誌に発表して以来の引用数の多さを話題に取り上げました。グーグル?スカラー?サイテーションという指標によると、2014年で2万3000件に達し、当時、世界で31位とDNAの発見(発見者は1962年ノーベル生理学?医学賞を受賞)より多かったこと、2020年には5万1000件にまで増えていることを紹介。発見から30年近くたっても依然として人気のある研究対象であることを力説しました。
飯島終身教授は名城大学でできた炭素試料を当時の勤務先NECの電子顕微鏡で研究、CNTの発見につなげたことで知られます。旭化成の研究者でもある吉野教授が、企業研究者としてリチウムイオン電池を開発したことを念頭に、日本の企業研究の意義とレベルの高さを強調しました。
今年も趣味の話題になりました。飯島終身教授は登山、フルート演奏、ロードバイクでのサイクリングなど多趣味で知られますが、「フルートは研究室に1本置いてあるが、あまり触らない」といいます。しかし、自転車で通勤している以外に、ロードバイクで名古屋市瑞穂区の自宅から愛知県東郷町の愛知池までを往復したり池を周回したりして42~43km走ることは今も続けていると楽しそうに語りました。
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