トップページ/受賞 農学研究科の加藤大志さんが第76回日本生物工学会大会で学生最優秀発表賞を受賞

受賞者

加藤大志さん (農学研究科農学専攻博士課程2年、加藤雅士教授?志水元亨准教授研究室)

受賞名

第76回日本生物工学会大会 学生最優秀発表賞

受賞日

2024927

受賞テーマ

白色腐朽担子菌 Phanerochaete chrysosporium 由来の新規 methoxyhydroquinone dioxygenase の機能解析

 日本生物工学会大会は、発酵技術や酵素の改良、環境問題の解決、生物を利用したものづくりや医療技術の開発など、バイオテクノロジーに携わる幅広い分野の研究者が発表を行う大規模な学会大会です。今回、審査対象となる236件の講演から選ばれた41件の学生優秀発表の中から、さらに優秀な発表として、最優秀発表賞が加藤大志さんに贈られました。
 加藤さんは、リグニンという木材中の難分解性の成分を好んで分解するキノコの一種、白色腐朽担子菌を研究対象にしました。この菌はリグニン分解能力を持っているものの、その詳しいメカニズムは長年にわたり謎とされてきました。加藤さんは、リグニンを分解時に白色腐朽担子菌が生産するタンパク質の一つに着目しました。このタンパク質は、チロシンというアミノ酸の分解に働く酵素と非常に似ていることをつきとめました。さらに白色腐朽担子菌では、このタンパク質がアミノ酸ではなく、リグニン断片の効率的な分解に働いていることが分かり、白色腐朽担子菌のユニークな機能が解明されました。加藤さんの研究により、リグニン分解経路に関する従来の常識が覆され、長年謎とされてきたリグニン分解メカニズムの一端が明らかになりつつあります。
 この発見は木質バイオマスの主要成分であるリグニンの効率的な分解が可能になることで、バイオリファイナリー技術の進展に寄与し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた大きな一歩になります。

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