Challengers' Action
アメリカ研修を終えて
―私自身の学びと成長―
理工学部 情報工学科 1年 本多紗彩
2020年07月03日
コア?プログラム(1年次プログラム)
2020年2月19日?3月1日のアメリカ研修(シリコンバレー)について述べる。
主な研修内容は、
?見学: | Plug and Play Tech Centerでベンチャー企業のピッチ聴講、Apple Park Visitor Centerで最新技術を見学&体験、Googleplex Headquarters内のキャンパスツアーに参加 |
?交流: | Santa Clara Universityの学生と環境についてのワークショップ&発表、Stanford Universityでシリコンバレーについての講義、DENSO社員との懇親会 |
?観光: | Golden Gate Bridge観光、Computer History Museum観光 |
1.研修の目的
私にとってのアメリカ研修の目的は以下のとおりである。
(1)アメリカと日本の文化の違いを知る
(2)新しいビジネスやアイディアがシリコンバレーで次々と生まれる理由を見つける
(3)私自身が積極性を身につける
2.目的に対しての振り返り
(1)アメリカと日本の文化の違いを知る
アメリカ人 | 日本人 | |
---|---|---|
日常生活 | 人の目を気にしない 個性豊か |
人の目を気にする |
初対面の人 | フレンドリー | 恥ずかしがる、遠慮がち |
エレベーター | Helloと声をかけあう | 無言 |
授業中 | 積極的に挙手 | 恥ずかしがって挙手しない |
的外れの 質問に対して |
どんな質問に対しても"Good Question!"と 相手の意見を認めたあと自分の意見を主張する |
常識外れな質問をすると変な目で見られる |
上記のようにアメリカでは
?何事に対しても積極的
?相手の意見を尊重しながらも自分の意見をしっかり言う
?コミュニケーション能力が高いということが分かった。
例えば、Santa Clara Universityでのワークショップでは、現地の学生と名城大学の学生とで4~5人のグループとなり"水質汚染を解決する方法"についてディスカッションした。まず、個々がインターネットで調べたり考えたりした案を伝え合った。ディスカッションしている最中に、時々わからない英単語が出てくるが「それはどういう意味?」と尋ねると、分かりやすい別の英単語でゆっくり説明してくれたり、絵に書いたりして説明してくれるので理解しやすく、これにより一人一人がしっかりと理解したうえでスムーズにディスカッションが進められたと思う。的外れの案を提案した際にも否定することなく、笑って受け入れてくれるので、自分が思った意見を恥ずかしがらずに伝えることができた。
また、同じグループだった現地の学生は、私たち日本人の意見を取り入れてくれたうえで、自分の意見と合わせ最終的な案をまとめあげてくれたので、グループ全員で解決策を導き出したという達成感が味わえた。その後、ポスターセッションを行った。その際にも現地の学生は互いのグループ発表を真剣に聞き「より知りたい!」という前向きな一心で質問している姿勢が多くみられた。アメリカの学生はディスカッション能力が素晴らしいのは勿論のこと、異なる意見でも受け入れる"器の大きさ"を感じた。このようにアメリカ人は自分の意見をはっきりと言うことができるだけでなく、相手の意見も尊重してくれることが日本との大きな違いだと感じた。
また、アメリカ人は周りの目など気にせず、個性を大切にしながら生活しており、自分は自分、他人は他人という考えを持っている。そのため、常にフレンドリーで人と人との繋がりを大切にする。例えば、飛行機やエレベーターの中、ホテル内でのすれ違い、レストランでの食事中など、笑って声をかけてくれるうえ、困っていると優しく丁寧な英語で教えてくれる。今回の研修の進行を務めてくださったアブラハ先生も、サングラスを顎の下にかけたり、飛行機の乗車券をポケットに入れたまま見せるなど、日本人では考えないようなユニークな発想を持ち合わせていると感じた。
(2)新しいビジネスやアイディアがシリコンバレーで次々と生まれる理由を見つける
私がシリコンバレーへ行って驚いたことは、ここで働く人々の発想は日本と大きく異なるということである。例えば、アメリカ人は何に対しても挑戦しようという志をもって常に自分の意見をハッキリ言うことができる。これにより"失敗を恐れずにやってみる、困難な壁にぶつかってもその失敗を活かして違うアプローチで再チャレンジする"という力が身についていくのだと思った。そのうえ、質問に対して最初に「Good Question!」と相手の意見を認めたあとに質問に答えてくれる。これは、ピッチ(スタートアップのプレゼンテーション)での質疑応答の際にも感じたし、Santa Clara Universityの学生とのディスカッションでも強く感じたことだ。
また、私の中では"外国人はルーズ"というイメージがあったが、それとは逆に"スピード感がある"ということに驚いた。例えば、Stanford Universityを訪問した際、櫛田さんに「質問がある人?」と言われ挙手しようと迷っていたら3秒程で打ち切られてしまったし、Googleplex Headquartersを見学の際、"この部屋には半分の方しか入れない"と言われ、とっさに動かないと損をしてしまうことなどがあった。アメリカでは遠慮などしていたら置いて行かれてしまうと感じた。つまり、シリコンバレーでは新しいビジネスやアイディアを思いついたらすぐに行動に移しているのだろう。
更には、相手の意見を尊重し、コミュニケーションを大切にするというアメリカ人ならではのユニークさも、新しいアイディアを引き出す源となり、ビジネスを盛んにしていくのだと感じた。
(3)私自身が積極性を身につける
日本には"普通"という曖昧な基準が存在し、日本人はそれに囚われている。そのため私を含めた多くの日本人は"自分の意見は普通から外れた意見かもしれない"と思い込み、それを言うことをためらっていると思われる。私もその一人である。自分の考えや質問があっても手を挙げて発言できずにいた。しかし、アメリカに行って学んだことがある。Santa Clara Universityの学生とのディスカッションでは、他の人と違った意見が逆に斬新で役立つこともあったので、ためらわずに発言してみることが大切である。
また、シリコンバレーで働いているDENSO社員との懇親会のとき、「恥ずかしくて質問できなかった」という後悔は一生残るが、失敗したことは心残りにならずチャレンジした証となる。だから何でも自分の意見を言ってみよう!そしてすぐに行動に移すことが大切だ。」とDENSOの鈴木さんに教わった。その一言で、私の気持ちに変化が起き始めた。それ以降の研修では、少しずつであるが英語で質問することもでき、自分なりに少し成長できたのではないかと感じた。
シリコンバレーで出会った方々は皆勇気を出して一歩踏み出しており、例え失敗することがあってもチャレンジした結果、今は素晴らしい人生を送れているのだと思えた。日本もアメリカのように何でもオープンに打ち明けることができる国に変わることができれば良いと思った。
3.最も印象に残った場所
私が最も印象深かったのは Plug and Play Tech Center。ここは、スタートアップ企業が"最初のオフィス"として選ぶことで有名な場所。シリコンバレーでは新しく生まれたアイディアを一人で考えるのではなく皆でシェアしてより良いものにしようとする考え方がある。それを支援するのがPlug and Play Tech Center。ここには、アイディアを持ったスタートアップ企業がスペースを借りてピッチ(4分間のプレゼンテーション)を行い、良いと思った投資家が声をかけるという仕組みがある
ピッチは毎週金曜日に行われ、今回私達は特別に聞かせてもらえた。ピッチは限られた短い時間の中で自分達のアイディアがいかに「より良いものか」ということを伝えられるかが重要となる。普段の授業で私達が行う発表とは大きな違いがあった。プレゼンテーションのスライドは文字を少なくし、絵や写真を多く取り入れているため分かりやすく、また、ジェスチャーを伴った表現で短い時間だが決して早口にもならず、投資家である聴き手に訴えかけるような聞きやすい発表だった。素晴らしいアイディアを聴けただけでなく、聴き手にとってわかりやすいプレゼンテーションの仕方も学べてとてもよい勉強になった。
4.研修を通じての今後の課題
アメリカ研修では私にとっての新たな課題を見つけることができた。
具体的には、
?アメリカ人のように周りの目を気にせず自分の思ったことをハッキリ言い、質問に対し
ては最初に「Good Question!」と相手の意見も認めたうえで、自分の意見を答えるな
ど、良いディベートができるようにする
?自分が苦手だと思っていることでも"失敗は成功への第一歩"ということを忘れず、
あまり考え過ぎずにチャレンジしてみる
?アメリカ人のようなユーモアをもって、コミュニケーションの幅を広げる
5.まとめ
今回のアメリカ研修では、アメリカ人と日本人の間にある考え方や文化の違いなどを学べた。
アメリカでは転職を繰り返している人も多く、日本人の常識とは大きく異なっているが、それにより成功している人も多くいる。常識に捉われず自分が本当にやりたいことを見つけて行動を起こすことで、生き生きとした人生を送れるということを感じた。また、Santa Clara Universityの学生との交流や、DENSOやGoogleの方との懇親会の場でも、シリコンバレーで活躍している方の生の声が聞けて人生の励みになった。その中でも、特に心に響いたのは、色んな方の人生の成功談や失敗談を聞けて、今後それをどのように活かしていくべきかを考えさせられたことだ。
引っ込み思案な性格の私だったが、今回の研修で積極的な性格になる第一歩を踏み出せる勇気をもらえた気がする。この研修に参加したことを励みに、今後の大学生活に活かしていきたいと思う。
最後に、計画し引率してくださった先生方や名城大学チャレンジ支援プログラムの皆さん、そして関係者の方々に感謝します。ありがとうございました。