092鉄道車両空力 (鈴木 昌弘) 研究室学生×教員 誌上ディスカッションON-PAPER DISCUSSION自動車、鉄道、航空機など交通機械を通じて機械工学を学ぶ学生 岡田さん(以下学生) 工業高校出身で高校時代から機械工学を学んできました。高校で様々な企業を知る機会がある中で鉄道業界に興味を持ち、名城大学には鉄道に関する研究室があることを知って入学しました。鈴木教授(以下教授) 交通機械工学科は鉄道車両や自動車、航空機などの交通機械を通して機械工学を学びます。中でも鉄道工学が学べるのは全国的にも珍しいと思います。教員の中には企業などで研究開発に従事していた者もいて、機械工学の基礎だけでなく応用についても豊富な経験があります。社会的な要請に応えられる技術者になるための素養を身に付けることができるのが本学科の魅力です。日本で唯一の装置を用いて竜巻が鉄道車両に及ぼす影響を研究学生 竜巻が発生した際に走行中の鉄道車両に加わる空気力について研究を行っています。竜巻は鉄道の運行に甚大な被害をもたらすのですが、発生を予測することが非常に難しいです。竜巻対策を講じるために、私たちの研究で竜巻が鉄道車両に及ぼす空気力を解析しています。教授 実は名城大学は日本で唯一、鉄道用に開発された竜巻発生装置を有しています。この装置を使えば、竜巻を人工的に発生させて鉄道車両への影響を調べることができます。しかし、我々の研究では一般的な風洞でも同じような結果を得られないだろうか、と、一歩進んだ研究をしています。研究では多くのデータを収集し、解析分析するという地道な作業が多く、その点、岡田くんはコツコツとがんばっていると感心します。まだ解明されていないことへの挑戦にやりがいを感じ、人としても成長する学生 実験はゴールが見えず大変だと思うこともありますが、まだ解明されていないことへの挑戦にやりがいを感じます。1つ1つ丁寧にやることはもちろんですが、時には全体を見渡し、今、何が必要かを見極める視点も重要です。研究は大学院生も含め学生みんなで取り組みますので、責任感や協力する力もより一層高めることができました。教授 実験装置や模型車両なども学生自ら設計制作して主体的に研究に取り組んでもらっています。私は長年、鉄道の研究開発に従事してきましたが、その経験からも空気力学の学問的なことだけでなく、主体性や責任感、継続する力など、実際の研究開発で必要となる力についても学生たちに伝えていきたいと思っています。学生 日本では1年に約20件の竜巻が発生しており、過去には竜巻が原因と考えられる脱線?転覆事故も起きています。今後は地球温暖化の影響によってそのような事故が増えることも考えられます。私たちの研究が鉄道の安全に貢献できると思うと、この研究に関わることができてよかったと思っています。
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