088生体医工学(横田 紘季) 研究室学生×教員 誌上ディスカッションON-PAPER DISCUSSION幅広く学んで視野を広げ機械工学を福祉や医療にも応用学生 蒲生さん(以下学生) 学科では、物理学とそれを用いるための数学?計算の基礎、言語、文学などを幅広く学び、学年を追うごとに専門性が増しました。4力学やプログラミング、部品の製図?設計など、機械工学科ならではの知識が得られたと思っています。幼い頃から人の体や物がなぜ動くのかを考えることがあったので、生体医工学研究室を知った時は、他大学にはない目新しさを感じました。横田准教授(以下准教授) 本研究室では、体の仕組みや動きを力学的に研究するバイオメカニクス、生体材料の解析、人工知能を用いた体の機能拡張など、人体の構造を幅広く研究しています。機械工学をベースに福祉や医療に貢献できるような研究を進めています。解剖学に基づきながらモデリング自発的に動いて造詣を深める学生 研究室では、他大学医学部にて人体解剖を見学させていただきました。実際の解剖体とモーションキャプチャシステムなどのデータを用いて研究しているのは、本研究室ならではだと思います。私はくるぶしより下に着目し、人の歩行についてコンピューターでシミュレーション解析しています。モデリングでは生体の情報が必要です。論文や解剖書で人体の動きについて理解を深めるだけでなく、骨や筋肉の硬さなどの数値データも集め、試作モデルの動きをリアルな歩行に近づけていきたいです。准教授 足のアーチ構造を支える足底をはじめ、つま先、踵など、蒲生くんが着目しているくるぶしより下の部位は整形の疾患が多い箇所です。歩行動作を力学的に解明できれば、サポーターの開発や適切なリハビリテーションに活用できると思います。新たなことに挑戦するには積極性や柔軟性も大切学生 モデリングでは何をやってもエラーが出ることがあります。研究室の仲間に意見を求めると、自分とはまったく違う視点からアドバイスをもらい、新たな糸口を見つけることができました。自分なりに調べたり、先輩に聞いたりして、試行錯誤する中で問題解決能力が養われたと思います。入学時は生体医工学という分野をまったく知りませんでしたが、研究室でその面白さを知りました。これからも知らないことや新しいことに興味関心を持つ姿勢を保ち、挑戦していきたいです。准教授 専門科目の知識と同時に、新たなことに挑戦するための積極性や柔軟性の大切さも伝えています。これらは、多様化する社会で活躍するために必要不可欠な能力です。研究をはじめたばかりの頃は問題がある度に立ち止まっていた学生たちが、日を追うごとに逞しく成長しています。自分自身の力はもちろんですが、人とのコミュニケーションでも問題を解決する能力は高まっていくもの。研究室を通じて好奇心を引き出し、自ら進んで学べるようにサポートしています。
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