056社会言語学 (池 沙弥) ゼミナール学生×教員 誌上ディスカッションON-PAPER DISCUSSION「希望者全員留学」を掲げる留学制度の手厚さに惹かれて志望学生 ■田さん(以下学生) 名城大学の外国語学部を志望した理由の1つは、留学サポートの手厚さです。学費はもとより渡航費や滞在中の居住費、海外旅行保険料など、留学にかかるすべての費用を大学が負担してくれるフルサポート制度をめざして入学。また少人数のクラスで徹底的に英語力を磨ける授業にも惹かれました。池准教授(以下准教授) 本学部として「希望者全員留学」を掲げ、フルサポート制度以外にも多彩な選択肢を用意しています。長期の交換留学のみならず、インターンシップやフィールドワーク、ボランティアなど数週間から1カ月程度のプログラムや研修なども充実しています。実際に使われている言葉を扱い言語に影響を与えている背景を紐解く学生 留学先のカナダが移民国家であることは私にとって好条件でした。メキシコ人やアジア圏からの留学生など、英語を非母語とする人たちの英語にも触れる機会が多かったため、池先生が専門とされているELF(English as a Lingua Franca、母語が異なる人同士が共通語として使用する英語)についての学びを体感することができました。准教授 本ゼミでは、英語をネイティブ、ノンネイティブという枠組みで捉えるのではなく、それぞれが一言語ユーザーとしてどのようなことを思考して言葉を発しているかという背景に着目します。「実際に使われている言葉を扱う」ことをモットーに、観光地の言語景観や海外の人の会話を録音した音源などを題材として、3年次には書き言葉と話し言葉の分析を実践。4年次には各々が最も関心を持ったテーマに絞り、グループワークを重ねながら卒論をまとめていきます。表層的な英語力のみを磨くのではなく英語を一つのツールとして学びを広げる学生 例えば、初対面の人が集まってボードゲームをする時。ゲームの前と後では親密度や会話の弾み方ががらりと変わります。その変化の背景を掘り下げると単なる言葉だけではなく相槌や視線、ジェスチャー、会話の間(ま)、声のトーンなど無限の要素が関連し、コミュニケーションが構成されているのだと気づきます。准教授 本学部では「グローバルコミュニケーター」の育成をめざしています。英語力を磨くことのみならず、日本という土壌で培ったアイデンティティを反映させながら世界中とつながっていく。互いの個性を認め合い、本質的な部分で心が通い合うようなコミュニケーションができる人材になってほしいと願っています。学生 私自身、4年間の学びを通して英語を学ぶという感覚ではなく、英語を一つのツールとして捉えるという意識が定着しました。本学では国際経済、非英語圏の文化、SDGsなど世界を知るための選択肢が多様に広がっています。日本人である私が話す英語も個性と捉え、誇りを持ちながらこれからも異文化交流を楽しみたいです。
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