大学概要【2019年度実施分】アクティブ?ラーニング型授業の質的保証のための高校IR

附属高等学校

アクティブ?ラーニング型授業の質的保証のための高校IR
実施責任者:伊藤 憲人

 2016年にアクティブ?ラーニング(以下、AL)研究会を設置し、昨年「教育研究会2018」を開催した。今後、全教科においてAL型授業の実践?普及するともに、質を保証していく必要がある。そのために「高校IR*」を導入する。PDCAサイクル(P:授業デザイン、D:実践、C:高校IR、A:研究)を回し、様々な授業に関するデータを分析することで、評価の正当性を新たに研究するとともに、AL型授業の質的保証をし、全教科において実践?普及を目指す。
 *IRとは、Institutional Researchの略である

ACTIVITY

アクティブ?ラーニング型授業実践報告1

2019/07/18

 今年度も「アクティブ?ラーニング(以下、AL)研究会」を週1回定期的に開催し、AL型授業の普及を目指し、附属高校の現状に即した提案をするための検討を行っています。
 昨年、「教育研究会2018」を開催するにあたり、研究主題として「Aha-体験を生み出す授業デザイン」という授業設計の際に共有するイメージを作成したものの、具体的にどのような力を授業で育んでいくかという検討までに至っていませんでした。そこで、今年度に入ってその検討を行い、「育てる力」を設定し、それに基づく授業を実施しました。
 まず、各教科におけるAL型授業をある程度確立した上で、その評価について今後検討していきたいと考えています。

通常授業が行われている期間は、所属教科以外の教員とじっくり授業のことを話し合う時間は少なく、AL研究会の時間は貴重な機会となっています。

AL研究会が考える、授業で「育てる力」

「育てる力」を踏まえた松下教諭のAL型授業(2019年6月25日)

オランダ?イエナプラン教育研修報告1

2019/09/20

 8月25日から30日までの6日間、オランダにおいて「イエナプラン教育研修オリエンテーション研修」に参加しました。取組の目的の1つである「アクティブ?ラーニング型授業の質的保障」を実現するためには、これまでの授業の手法にとらわれないものを知ることが必要であり、海外も視野に入れて見学先を検討してきました。
 そこで、オランダのオルタナティブ教育(一般的には、従来とは異なる教育、非伝統的教育を意味する)の1つである「イエナプラン教育」に注目しました。昨年の12月の新聞報道で名古屋市の公教育改革のひとつとして、イエナプラン教育の名が挙がりました。この教育内容の1つに「ワールドオリンテーション」という、日本で言うところの「総合的探究の時間」に極めて近い科目が、中核として位置づけられており、これは教科別の学習をつなぎ、それを土台に社会の課題を自分なりに考えていく時間ということで、大変興味を持ちました。また、イエナプラン教育を実施するにあたり、学校の施設も日本のものとは大きく異なり、什器等の配置に工夫がされています。
 娱乐老虎机_mg老虎机-【唯一授权牌照】4年度から学年進行で実施されていく新学習指導要領において、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標」を持つことが求められており、これまで以上に社会とのつながりを意識する必要があります。また、学校と社会がつながっていくために教科横断型のカリキュラムの実施、そして「主体的?対話的で深い学び」の実現、また、附属高校では、開学100周年に向けて、一部施設の更新も予定されていること等、これらのことに鑑みて、イエナプラン教育研修に教員1名が参加しましたので、報告します。

研修講義室は日本の会議室のようなものではなく、ソファーがあったり、観葉植物がいたるところに置いてあったり、机上には一輪挿しがあったりと、堅苦しさがありません。自由に話せる雰囲気を物理的に作り出しています。

PowerPointを使用しながら、英語やオランダ語で、通訳を介しての講義でした。 時には「笑い」を入れたり、自分の意見を示す際に挙手するのではなく、体を使って表現したりするなど、通訳を介してであっても、退屈しないような工夫が盛り込まれていました。

「リズミックな学習」という考え方があり、話を聞いた後は、体を動かす、その後は個人作業と、「静→動→静→…」を意識した日課です。これは、「動」の時間で行われるアイスブレイクです。「対話的」な学びを行う際には、互いを知ることは欠かせません。

オランダ?イエナプラン教育研修報告2

2019/09/20

「オランダ?イエナプラン教育研修報告1」に続いて、校舎外の施設を紹介します。

校庭から見た正面玄関(正門)です。「正面」や「正門」という感覚はない感じがします。学校の施設が市民生活に溶け込んでいる様子がうかがえます。

運動場です。学校は「市民の施設」という考え方があり、校内外を仕切るための柵はありません。日本では防犯意識が高いため採用することは難しいですが、「社会に開かれた」学校を意識した設計が今後、必要であると考えます。(建物は学校施設ではありません)

中央に教師が立っていますが、原則見守るだけです。15分ほど見学しましたが、その間に、教師が1対1で話をする場面、複数の子どもを集めて話をする場面を何度か見ており、自由放任というわけではなさそうです。(建物は学校施設ではありません)

校庭にある遊具です。2ヵ月をかけて、教師、保護者で作ったものです。特に、この学校は地域の人の要望で設立されたので、保護者が学校運営に関わることも多いとのことです。「社会に開かれた教育課程」の実施を考える際に、保護者の協力は欠かせません。

オランダ?イエナプラン教育研修報告3

2019/09/25

「オランダ?イエナプラン教育研修報告1と2」に引き続き、校舎内の様子を報告します。

いわゆる教室です。すぐに、サークル状にすることができる可動式の机や椅子があり、また、室内はカラフルです。壁や床の色を変えることで、学習を楽しめる雰囲気になります。大いに参考にすべきことだと考えます。

いわゆる廊下です。日本では通行するためだけのものですが、イエナプラン教育では、学びの場として有効に利用します。「主体的」な学びを実現するために、自分が学びたいと思ったときに、その環境(道具、施設)があることは極めて重要だと考えます。

いわゆる廊下においてあるパソコンです。本校では、「パソコン教室」で管理されているものが多いですが、ここではいつでも使えます。今後、本校でもICT教育を進めていく上で、常時使用可能な環境を早急に作っていく必要があると考えます。

子どもの発表を行うための場所です。職員室(上方)に直結しています。職員室と他の部屋をつなげるという発想を、私自身考えたことがなく、斬新なアイデアだと感じました。教師と子どもをつなげる工夫の1つで、参考になりました。

職員室内です。書類はほとんどありません。職員室というより、打ち合わせスペースといった感じです。ここで、教師は昼ご飯をみんなで食べるとのことです。オフィシャルな場、アンオフィシャルな場での交流を大切にしていると、校長先生は話されていました。

午前、午後の始まりと終わりに学習の目的の確認、振り返りを行います。一人一人に発言が求められますし、議事進行も子どもが行います。子どもを「信じる」ことを前提にした活動です。「主体的」な学びの実現には、必要な活動を考えます。

異年齢混在のクラスとなっています。毎年、約1/3ずつメンバーが替わるため、自分の役割が変わり、様々な立場を経験することで、相手への理解を深めることができます。現在、日本では学年単位で行動することが多いですが、様々な人との関わりを持たせるため、今後は柔軟に考えいく必要がありそうです。

アクティブ?ラーニング型授業実践報告2

2019/12/20

 1学期に「名城ツリー」*?の作成を行いました。これで、授業において育てる力を6つ明示しました。アクティブ?ラーニング型の手法も用いながら、「名城ツリー」を意識した授業実践を12月に開催される「教育研究会2019」で披露したいと考えています。そこで、本校教員はもとより、他校の先生方のご意見を聞き、AL型授業の改善を図っていきたいと考えます。
 その前段階として、AL研究会のメンバーを中心とした公開授業を実施しましたので、報告いたします。

*1 2019年7月18日付の報告で、「AL研究会が考える、授業で『育てる力』」と説明したイラストを「名城ツリー」と呼んでいます。

小池教諭(理科)のよる、ICT機器を用いたアクティブ?ラーニング型授業実践。演示実験を取り入れており、一人一人実験を行うことはできないが、ICT機器を使用することで、全員にわかりやすく操作や実験結果を見せることが可能になっています。

紀藤教諭(社会科)による、センター試験問題を活用したテーマ学習。センター試験の問いに対する考察を、KP法(紙芝居プレゼンテーション法)を用いて個人でまとめ、グループ内で発表します。協働学習によって様々な気づきが得られ、また知識等を補うことができます。

岡田教諭(国語科)の授業実践。これまでの先進校視察で得た経験を授業に盛り込んでいます。この挑戦的な取り組みは、主体的?対話的で深い学びに大きく貢献しています。授業時間中は、話す時の賑やかさ、考える時の静けさの静寂がはっきりしています。

本校教員も、教科の枠を越えて、自主的に参加し、研鑽を積んでいます。

教育研究会2019開催報告

2019/12/26

 附属高校で12月12日、「教育研究会2019」を開催しました。この会は、昨年に続いての開催で、「主体的?対話的で深い学び(アクティブ?ラーニング[以下、AL])」の視点に立った授業改善の普及と他校教員との意見?情報交換の場とすることを目的としています。県内の私立高校教員を中心に40団体80名が参加しました。
 運営は、AL研究会所属の教員を中心に、教職センターの井中宏史教授、平山勉准教授、外国語学部の藤原康弘准教授、愛知教育大学、京都光華女子大学短期大学部の教員に助言者として協力をいただきました。
 「名城ツリーを育てる授業デザイン~Aha-体験と身体化~」を研究主題に掲げ、公開授業や研究協議会を開催し、「名城ツリー」*?を意識した授業デザインの評価を、本校教員、外部からの参加者からいただく機会となりました。
 4月から7月の4か月をかけて作り上げた「名城ツリー」の外部参加者の評価は高く、是非これらを意識して使ってみたいという声がある一方、本校教員への周知はまだまだ進んでおらず、課題となっています。
 今後は、このような声を生かして、「名城ツリー」の改善をしていくとともに、AL型授業の質的向上を目指していきます。その後、AL型授業を評価するためのIR(Institutional Research)の研究に入っていきたいと考えています。

*1 2019年7月18日付の報告で、「AL研究会が考える、授業で『育てる力』」と説明したイラストを「名城ツリー」と呼んでいます。

宮田教諭(数学科)の予習動画を活用した演習授業の様子です。家庭で予習しているため、学校の授業ではその内容をもとに、クラスメイトと対話することで、さらに内容理解を深めることができます。

角野副校長(国語科)のセンター試験対策演習の授業です。学び合いによる「内化」「外化」との往還、活動に応じた「身体性」を意識することによる能動性の深化を目指します。

研究協議会の様子です。参加者と授業担当者との質問や意見交換により、本校教員も含めて、授業に対する自分の考えを深められました。外部からの参加者の中には、中学校教員、大学教員、指導主事の方もおられ、様々な立場からのご意見を伺うことができました。

意見交換会の1コマです。名城大学の教員、名城大学の学生、附属高校の教員で、英語の授業について意見交換をしている様子です。これぞ、「名城学びのコミュニティ」。

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