大学概要茶会空間の設計による建築社会実験
NAFアーキテク茶会
実空間を制作?体験し、建築の持つ力を表現することを通して、建築を学ぶ人を繋ぐコミュニティを形成し、地域への発信を行う。
第一回アーキテク茶会
2018/10/01
■今回の取り組み内容(目的)
私たちNAFアーキテク茶会は6月2日、第一回のテーマとして「隙間」を考え、建築が持つ可能性を考察し、名城大学名古屋ドーム前キャンパスにて茶会空間の設計を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
”隙間”というものは、ミクロな視点にもマクロな視点にも見ることができます。建造物は、都市の中に隙間を見つけなければ建てられません。しかし、人の視点から見れば、利用できずにいた場に人が生活を行える隙間を創り出す行為とも言えます。私たちは”隙間”が人の生活や都市風景にどのような影響をもたらすことができるかを考察し、設計をすることで仮説を立て、施工し、利用することで検証を行いました。設計者として、場に対して独自性のある建造物を創り出すことを目的とせず、その場の持つポテンシャルを引き継ぎながら隙間を創り出し、場の魅力を再発見することのできる取り組みこそが重要であると感じることとなった。
第二回アーキテク茶会
2018/10/01
■今回の取り組み内容(目的)
私たちNAFアーキテク茶会は7月8日、第二回のテーマとして「歪み」を考え、建築が持つ可能性を考察し、名城公園にて茶会空間の設計を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
私たちは、歪みという事象には三種類あるのではないかと仮説を立てた。一つは即物的な歪み(外的影響により変化を起こすもの)、一つは認識的な歪み(観察者の観念によって錯覚的に引き起こされるもの)、一つはラベル的な歪み(言語や視覚情報などにより恣意的に起こされるもの)である。
このように複雑な事象をコントロールするために、歪みを作用させる要素を抽出し、「歪むもの?歪ませるもの?観察者」の三つを定義することで建築を創り出すことができるのではないかと仮説を立て、設計?施工して利用し、検証した。結果として、茶の湯の文化と現代コミュニケーションの更新可能性を感じる程に効果的な建築を生み出すこととなった。
第三回アーキテク茶会
2018/12/25
■今回の取り組み内容(目的)
私たちNAFアーキテク茶会は10月21日、第三回のテーマとして「流動」を考え、建築が持つ可能性を考察し、名城公園にて茶会空間の設計を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
“流動”は、その場にとどまらずゆっくりと動き続ける様を示す。どのような物体も留まることはなく、建築に用いられる建材も姿かたちは変えながらも動き続け、そしてそれを動かす人々がいる。近代の産業革命以降、輸送コストの減少に伴い建材は遠くの土地から一つの敷地に集められるようになった。すると以前は、その町その地域固有の素材によりつくられていた建築が、世界中どこだとしても同じような建築物が立ち並ぶようになってしまった。こうして風景は崩れ、文化が霞んでいく現状に多くのひとが気付くべきである。この問題に対して私たちは、その土地の風景を拾い上げ、文化を伝えるための建築を考え施工を行った。建築を世の中に生み出していく私たちは、建てるその地の僅かな振舞いを丁寧に感じ取った上で建築を考えることが大切であると気が付いた。
今年度最後の茶会に向けて
2018/12/25
■今回の取り組み内容(目的)
私たちNAFアーキテク茶会は、最後の茶会を行うために木材加工工場へ出向き、工場の見学と建築の提案を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
これまで私たちは、思考?施工?体験?考察の訓練を続けてきた。多くの改善すべき点をみつけ、次に活かすことを特に大切にしてきた。その中で見えてきたものの一つに、施工の技の拙さがあった。素材を加工し、接合をすることは、実際に建築を形にする上で必要な行為であったが、難しい課題であった。そこで、最前線で制作し続けているプロフェッショナルに話を伺い、今年度最後の茶会に向けて制作のアドバイスを頂いた。
制作物のモックアップをみて、最終調整を行った。
2019/03/05
■今回の取り組み内容(目的)
設計をおこなった制作物のモックアップ(検討のために制作する原寸モデル)をみて、最終調整を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
設計という行為は、具体的なものをつくるために想定をするものであるが、実際にはその想定はとても曖昧なものであることに気が付いた。物質感のない線で描かれた図面には、木目の温かみは分からないし、紙の上には重力はなかった。今回、検討のために制作したモックアップは、接合する箇所や耐久力、持ち運びの容易さなど、紙の上や頭の中では想定しきれないリアリティをもって検討を行えて、設計を行うことの難しさと、同時に面白さを知り得る結果となった。
制作物の加工を行った。
2019/03/05
■今回の取り組み内容(目的)
木材加工工場へ出向き、アーキテク茶会のメンバーとスタッフの皆さんで、実際に制作物の加工を行った。
■取り組みでの感想、得られたこと、今後の抱負など
遂に制作工場にて制作を行うことができました。専用の工具を用いる制作は、専用の金具を取り付けるためであったり、特定の目的をもった工程であった。ここで得られた教訓がある。万能な道具は専用の道具に劣るということだ。私たちが普段手に入れるような道具は、ある程度どのようなものにも適応できるようなものであり、DIYのように家庭で自由に制作ができる。しかし一方で、この工場でつくられるものは「商品」であり、素人と玄人の差というのはきっとここにある。私たちはこれから社会にでて、なにかのプロとして貢献していく。私たちも万能である必要はなく、どこかひとつ、自分ができることをひとつ、見つけていくことが大切なんだと感じた。